ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.8~GARGANEGA~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第8回目は・・・
食卓に幸せな時間を演出してくれる『GARGANEGA/ガルガーネガ』

 

 

 

ガルガーネガの起源はギリシャと言われています。ヴェネト州ヴェローナ県では最も重要な白ブドウ品種の一つで、この地域の著名なワインの中でも重要なパーセンテージを占めます。
1495年、農学者Pier de’ Crescenzi氏が著書『農業概論』においてこのブドウ品種を2種類に分け、「そのうち『femmina(雌の意)』は生産性が高く、『mascolino(雄の意)』はそれに比べて奮わない」とし、その中でも前者の方が今日のガルガーネガの祖先である可能性が高いと考えられていています。この書の中では、このブドウはガルガーニカ(Garganica)と呼ばれ、ヴェネツィア、ヴェローナ、コッリ・エウガネイあたりで1000年頃から栽培されていた、とあります。また、古くから甘口やパッシートを造るブドウとして認められており、パドヴァやボローニャなどにおいて高貴なワインとみなされていたとも記されています。

 

学者Cosmo氏 (1939年)は自著の中で、Perez 氏(1886年) によってすでに研究されていたガルガーネガ・ビアンカというブドウ品種について言及しています。しかしながら、このシノニムについては近年ではガルガーネガとは別のものであると考えられます。また、Cosmo氏は同書の中で、ガルガーネガの全ての種類は2つの根本的に異なるブドウ品種に辿り着くとの結論を出しています。それが主にワイン用ブドウ品種の「ガルガーネガ・コムーネまたはガルガーネガ」と、かつて食用ブドウとして利用され現在ではほぼ消滅した「ガルガーネガ・グロッサまたはガルガネゴーナ」です。これらの区分は今日でも正しいと考えられていて、一般的にガルガーネガとはワイン用として使われているブドウ品種を指します。
シチリアのグレカニコという品種はガルガーネガによく似た特徴をもっており、同一あるいは派生品種であるという説もあるのです。
1970年、正式に国のブドウ品種として登録がされました。

 

 

 

 

ヴェネト州の西側ほぼ全域に普及し、DOCソアヴェのエリアを含むヴェローナ県が特に生産が盛んです。石灰質を含む土地であっても火山質の土地であっても素晴らしい品質のブドウを生み出すことができ、このエリアが6,000ヘクタール以上と全体の収穫の多くを占めています。少し東へ行くとDOCガンベッラーラのエリアにあたり、ソアヴェほどは有名ではないものの、ガルガーネガが高いポテンシャルを発揮できる場所の一つとされます。ガルダ湖周辺のDOCビアンコ・ディ・クストーザのエリアでも栽培は盛んで、また、少量ながらもヴァルポリチェッラのエリアでも作られています。かつて生産が盛んであったコッリ・ベリチ、コッリ・エウガネイのエリアでは、今日ではブドウ畑の減少が顕著です。2010年の農地の調査によると、ガルガーネガの作付け面積は合計で10,700ヘクタールとされています。

 

果房のサイズは大きく、円筒またはピラミッド状の形で羽が生えたような岐肩(1つまたは2つの大きな翼) を持ちます。長さは25センチ以上にもなり、500gを超えることもあります。果粒は中程度の大きさで、楕円形が少し押しつぶされた形状。果皮は厚くないが硬く、表面が蠟質の白い粉で覆われています。
実は黄金色で成熟していくと錆色(赤茶色)に変化。収穫は主に9月の前半に行われるが、最近では収穫の時期を遅らせる生産者が多くなっています。
葉の大きさは中程度でやや細長い五角形で五裂。表面に毛はなく、光沢のない明るい緑色でブツブツしています。裏面はやや灰色がかった緑色で、少し突き出た葉脈が蜘蛛の巣状となっています。

 

出来上がるワインは麦わら色の黄色でやや濃い。香りは特徴的なフレッシュな花の香りから始まり、成熟した果実の香りに変わります。適正な熟成過程を経ると、素晴らしいミネラルが感じられようになります。軽やかなボディで、のびやかさとバランスの良さ、旨味を兼ね備えます。単一のものもトレッビアーノ・ディ・ソアヴェまたはシャルドネを少し加えたものも、10年程の熟成は期待できます。
また、DOCGレチョート・ディ・ソアヴェ、DOCGレチョート・ディ・ガンベッラーラとして知られるアパッシメントされたタイプのワインは、ブドウ本来の果実味とアルコール感、そして心地よい甘みとのバランスが魅力的な食後酒です。

 

 

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

 

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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