ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.4~NERELLO MASCALESE~

 

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第4回目は・・・
活火山で生れる唯一の品種『NERELLO MASCALESE/ネレッロ・マスカレーゼ』

 

 

 

ネレッロ・マスカレーゼは、ヨーロッパ最大の活火山であるシチリア島エトナ火山周辺で最も多く栽培されているブドウ品種です。その起源についてはまだ解明されてない部分が多いのですが、数百年前より、海とエトナ山に挟まれた狭い農地、カターニア県のMascali(マスカーリ)平原の農夫たちが好んで栽培したことにより普及したという説が一般的です。Mascaleseはこの地名に由来していると考えられています。

 

高い所では標高1,000メートルを超す傾斜の多いエトナ山域は、火山活動が活発なエトナ山が噴火した際の溶岩、火山灰を含む水はけの良い火山性土壌が特徴です。この辺りでは火山岩の傾斜地に頑強にしがみつくアルベレッロ仕立てのかなり樹齢の古い木が今でも多く見られます。このような古いブドウ畑はきれいに区画されずにばらばらに植樹されているものも多くなっています。というのも、このエリアでは「取り木」と呼ばれる繁殖方法を用いて、後にアルベレッロ仕立てに植え替える栽培方法が普及していたためです。

 

取り木とは、枝を曲げて株元近くの土中に枝の一部分を埋め、発根させてから切り取る方法で、その結果、古いブドウ畑において、接ぎ木をしていないブドウの木が今でも多く存在するのです。

最低80%のネレッロ・マスカレーゼ種の使用が定められているDOCエトナの代表格エトナ・ロッソは近年世界的にも評価の高いワインの銘柄となっており、注目されている品種のひとつとなっています。

 

生産エリアは主にシチリア州全土。カラブリア州のクロトーネ県、カタンザーロ県でも栽培が見られます。特にシチリア島北東部、カターニア県のエトナ山周辺での栽培が盛んで、DOCエトナのエリアはエトナ山を取り囲むように分布しています。現在シチリアでは、ネロ・ダーヴォラに次いで2番目に多く栽培されている黒ブドウ品種です。

 

 

 

果房のサイズは大きく、1つ以上の羽が生えたような岐肩状で長めの円筒形または円錐形。 果粒は中程度の大きさの楕円形で密着型。 果皮は非常に厚く明るい青色。表面がやや蠟質の白い粉で覆われています。 成熟は遅く、一般的に収穫時期は10月の第2週頃。葉の大きさはかなり大きめの五角形で、丸みを帯び三裂。表面は無毛で光沢のない明るい緑色。

 

ワインの傾向は、一般的な赤ワインの製造方法で造られたタイプのものは、しっかりとしたルビー色で、スミレや赤ベリー、スパイスなどの香りが特徴。ボリューム感、アルコール感、タンニンがしっかり感じられるワインとなります。

単一あるいは白ブドウや亜種であるネレッロ・カップッチョなどの黒ブドウとブレンドされます。
かつては、ブドウの搾りかすを取り除いて醸造する「Pesta in Botte」と呼ばれるエトナ地方伝統の製法が用いられていました。

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

 

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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