ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.5~FIANO~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第5回目は・・・
気品あふれる白ブドウ『FIANO/フィアーノ』

 

 

 

フィアーノ種はカンパーニア州の他の古代品種と同じく、数世紀に渡って研究者たちの間でその起源について常に議論がなされているブドウ品種のひとつです。古代ローマの博物学者プリニウスや農学者コルメッラがフィアーノというブドウ品種を指す言葉として「Viti apiane」を引用していたとする説があります。これは、ラテン語の“vitis apianis”という「蜂(api)が完熟したブドウ(viti=ブドウの学名)に群がる様」を意味する言葉が由来となったと考えられていました。

しかし、ワイン醸造や農学の研究者たち、例えば16世紀にはバッチ氏、18世紀にはニコジア氏、そして20世紀にはカルルッチ氏が、このブドウ品種はマスカット種に類似しており、フィアーノと同一品種とは断定出来ないという否定的な見解を示しています。

 

歴史上初めてフィアーノという言葉が引用されたのは13世紀前半になってからで、当時のシチリア王フェデリコ2世がフィアーノ好きで知られており、当時の彼のワイン発注書にGreco(グレコ)、Grecisco(グレチスコ)と並んでFiano(フィアーノ)という名前が度々登場しています。13世紀後半にはシチリア王カルロ2世が、当時統治していた現在のプーリア州フォッジャ県マンフレドニアにあった自身の畑にフィアーノのブドウの樹16,000本を植樹させ、広く栽培されるようになりました。

 

その後1656年になって農業研究者ベッラ・ボーナ氏が、現在のLapioにあたるApiaという地域がApianoあるいはFianoと呼ばれるブドウ品種の生産に最適であると提言。このように品種名はこの地名に由来し変化していったとする説が有力であります。

この品種は一時期減少していきましたが、1970年代、アントニオ・マストロベラルディーノ氏の手により絶滅の危機から逃れました。

 

フィアーノは主にカンパーニア州、プーリア州、シチリア州を始め、カラブリア州を除く南部、中部イタリアで広く栽培されています。なかでもカンパーニア州のイルピニア地方、ベネヴェント、サレルノ周辺が最良の生産エリアとなっています。

古くから地中海周辺で愛されてきたフィアーノは、この地域の白ブドウ品種の中でも特に気品ある品種とみなされてきました。リンゴ、洋ナシ、ヘーゼルナッツ、ハチミツの香りなどが特徴的。バランスの取れた酸味とミネラル、素晴らしい余韻を併せ持ち、長熟も可能。近年では、バリック(木樽)で熟成されたり、パッシートとして造られたりとバラエティーに富み、そのポテンシャルが注目されています。

 

 

 

 

果房のサイズは、小~中程度で円錐形、岐肩は大きい。果粒も中程度の大きさの楕円形で、密着度はさほど高くありません。 果皮は黄金色で、日射の多い部分だけ琥珀色の斑点がみられ、わずかに蠟質で覆われています。 また、非常に厚い果皮のため、病害、特にボトリティスに耐性があります。一般的に収穫時期は他品種と比べて遅めの10月初旬。

葉の大きさは中程度で、丸みを帯び三裂あるいは五裂している。表面には毛がなく、鮮やかな緑色。

 

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

 

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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