ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.6~NEGROAMARO~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第6回目は・・・
南イタリアの豊潤な大地から生れる『NEGROAMARO/ネグロアマーロ』

 

 

 

南イタリア・プーリア州において、一番重要なブドウ品種であるネグロアマーロの名前の起源については、ブドウ品種学者や歴史学者の間で議論の的となっています。それは特に「amaro」の部分についてです。いくつかの文献では「Negro」と「Amaro」に切り離して表記されていますが、この「amaro アマーロ=苦い」というのは、タンニンが豊かで力強いというその特徴に由来する説があります。一方で、それぞれ「黒い」を意味するラテン語の「nigro」とグレカニコ語(カラブリア及びサレント地方で話されるギリシャ語方言)の「mavro」とが結合して「Nigramaro」となったとする説があるのです。これはブドウの皮の色が黒々としているのを強調したもので、そこからしだいに「Negroamaro」へと変化していったとされます。真偽のほどは定かではないものの、いずれにせよ紀元前7世紀頃ギリシャからの入植者がイタリアの海岸線に多くの町を築き上げたときより、プーリアとギリシャは非常に深い関わりがあったことは疑いようもないのです。

 

また、ギリシャを起源とする説を否定するものとして、1800年代にプーリア州サレント地方に「Nero Dolce(甘い)」と呼ばれていた品種が存在しており、それと区別するために対義語の「Amaro(苦い)」という名で呼ぶようになったという説もあります。

さらに、プーリア州の方言で「黒」と「苦い」を意味する「Niuru Maru」とも呼ばれていたとされており、これはブドウの実の色の深黒さとワインの味わいの苦さを明確に表したと考えられます。

ネグロアマーロの栽培はサレント地方のみならず南イタリアの広範囲で普及していくが、この偉大なる品種の名前の初出は1800年代になってからのことです。1872年にワイン醸造研究家のAchille Bruni氏が他の学者に宛てた書簡において、初めてこの品種についての特徴を細かく書き記しています。そこには「房は中程度、粒はややまばらでプルーンあるいはオリーブの実のような形」「非常に色が濃く、高いアルコール度をもち、風味豊かで独特のアロマに恵まれた秀逸なワインとなる」と書かれています。

 

プーリア州では地域によってAlbese(アルベーゼ)、Jonico(ジョニーコ)、Lacrima(ラクリマ)、また南イタリアの一部地域ではUva Olivella(ウーヴァ・オリヴェッラ)、Purcinara(プルチナーラ)、Abruzzese(アブルッツェーゼ)などとも呼ばれていました。

 

 

 

 

ネグロアマーロは、主にプーリア州で栽培される土着品種。特にレッチェ県からブリンディジ県にかけてのアドリア海沿いが主な生産地で、バーリ県、ターラント県、フォッジャ県でも少量ではあるが生産されています。石灰質と粘土質の土壌を好み、暑く乾燥した気候に向いています。生産量は多く、通常9月末から10月上旬に収穫されます。

 

果房のサイズは中程度で短い円錐形。果粒も中程度の大きさの円形または楕円形で、密着度は高い。 果皮は非常に厚く、赤みがかった黒あるいは暗紫色で表面がやや蠟質の白い粉で覆われています。

葉は大きめで、表面は毛がない。五角形で三裂あるいは五裂。

 

出来上がるワインの特徴

赤ワイン ー 紫がかった濃い色調でほとんど透明度はない。香りにはサクランボ、赤系果実のジャム、なめし皮やコショウなど。アルコール度数は総じて高めになるため柔らかさや丸みが感じられ、しっかりとしたタンニンがきれいな酸と心地よい余韻と共に存在します。

ネグロアマーロに精通したエノロゴ、Severino Garofalo氏は軽くアパッシメントをさせたブドウからさらにリッチでスパイシーさが加わった10年以上の熟成が可能なワインを造ることに成功し、ネグロアマーロのポテンシャルを知らしめました。

 

ロゼワイン ー 現在イタリアのロゼワインの60%以上がプーリア州で生産されています。ネグロアマーロはその中でも主要な品種のひとつです。ロゼに醸造されるときは、マルヴァジア・ネーラ・ディ・レッチェあるいはマルヴァジア・ネーラ・ディ・ブリンディジを僅かにアッサンブラージュすることも多。一般的に淡い輝きのあるピンク色で、フルーツと花のニュアンスを持つ繊細な香りを感じます。果実味は豊かでフレッシュで軽快な味わいとなります。

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

 

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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