ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.7~LACRIMA~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第7回目は・・・
アドリア海の風から生れる華やかなアロマを纏った『LACRIMA/ラクリマ』

 

 

古くよりカンパーニア州、ウンブリア州、プーリア州、マルケ州に広く普及するイタリアの黒ブドウ品種です。これらの地方ではテーブルワインを造る品種としてよく使用され、その親しみやすい香りは非常に好まれています。現在では、「発祥の地」として考えられ、「DOCラクリマ・ディ・モッロ・ダルバ」が造られるマルケ州アンコーナ県で主に栽培されています。

過去にはラクリマという名前が数多くの別品種にも使われ、大変な混乱を巻き起こしてきました。ブドウ品種学者のGiuseppe di Rovasenda(1877)や果実栽培研究家のGirolamo Molon(1906)などが残したラクリマに関する書物においても考察されていますが、それらの違いは明確になっていません。現在の遺伝学の研究では、ラクリマはアレアティコという品種と密接な関係があり、恐らくアレアティコの子孫であるとみなされています。ちなみに、異なる品種のブドウで造られるカンパーニア州DOCヴェスーヴィオのワイン「ラクリマ・クリスティ」とは何の関係もありません。

成熟すると厚い果皮がたやすく裂け、滴り出る果汁が涙の様に見えることが、「涙」を意味する「ラクリマ」という名の起源であるとされています。また、ブドウの房も果粒もやや細長く、涙のような形をしているというのがその名の由来とする説もあります。

 

 

 

 

1971年に国のブドウ品種として登録されました。主にマルケ州アンコーナ県で栽培されており、DOCラクリマ・ディ・モッロ・ダルバが生産されています。このDOCは「ラクリマ85%以上を使用」と規定されているのですが、一般的には他の品種とはブレンドせずに造られます。ロマーニャ地方、トスカーナ州、プーリア州でも見られるが、ブレンド用として使用されています。

果房のサイズは中程度で岐肩を持つピラミッド型。 果粒も中程度の大きさの円形または楕円形で、密着度は高くなく疎着粒。 果皮は厚く青みがかった黒色。表面が蠟質の白い粉で覆われています。 一般的に9月末頃に完熟。

葉の大きさは中程度で、長めの鋸歯(「きょし」ギザギザの切れ込み)があり五裂。葉には起伏があり、中心部分が盛り上がり葉先へかけて緩やかな曲線形。表面は濃い緑色。

ステンレスタンク熟成のラクリマはバラやスミレの花の強い香りが特徴的。味わいは適度なタンニンと酸、輪郭がしっかりとしたミディアムボディでわずかな熟成にも向いています。アロマティックな余韻は心地よく親しみやすい。木樽での熟成はあまりされることはなく、特にパッシートにおいては極稀であります。また、色調や味の調整において良い結果をもたらすという研究結果から、ブレンド向きの品種でもありません。

 

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

 

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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