ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.12~SAGRANTINO~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第12回目は・・・
無骨だけど包容力のある『SAGRANTINO/サグランティーノ』

 

 

 

 

サグランティーノは、ウンブリア州ペルージャ県に位置する小さな町モンテファルコの伝統的なブドウ品種です。1世紀の古代ローマ詩人マルツィアーレ氏のエピグラム(短い詩)にはモンテファルコのワインが引用されており、また同時代の政治家大プリニウス氏の名作「博物誌」にはメヴァーニア(現在のべヴァーニャとモンテファルコの間)で栽培されていたUva Hirtiola(ウーヴァ・イルツィーオラ)について書かれています。そのブドウ品種の正体において数々の議論が生まれ、1596年にブドウ品種学者アンドレア・バッチ氏はウーヴァ・イルツィーオラと白ブドウ品種ウーヴァ・パッセリーナが同じであると明言しました。一方で、近世の考古学者カルロ・ピエトランジェリ氏はウーヴァ・イルツィーオラがサグランティーノである可能性を唱えました。

 

19世紀の終わりに、モンテファルコの土着品種であるサグランティーノのワインが世に出回り始めます。この品種名は過去の資料に記録がないため正確な名前の由来は不明ですが、現地の高齢者の方々の話によると、サグランティーノ種は昔から存在していたことは明らかで、SagrantinoはSacramenti(秘跡の意)に由来しているという説があります。このブドウ品種は修道士により栽培され、ミサ用のパッシートワインに使用されていました。また、農民がクリスマスや復活祭のような重要な祭典の際に飲んでいたワインだとされています。

 

この品種には粘土が多く含まれている柔らかさが中程度の土壌、日当たりの良い丘陵地帯が適しており、寒さやカビに強いためパッシートワイン向きで、長年渡って主に甘口ワインが造られてきました。それゆえ、1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された後、1977年にSagrantino PassitoのDOCが先に認められており、数年後に辛口のDOCも認定されました。初めてサグランティーノ種の可能性に着目した熱心な生産者アルナルド・カプライ氏の功績により、90年代よりサグランティーノは次第に人気が高まり、消費者の注目を浴びるようになりました。1992年に甘口と辛口のサグランティーノが共にDOCGに昇格しています。

 

サグランティーノ種の栽培エリアはDOCG Montefalco Sagrantinoエリアと一致しており、ペルージャ県にあるモンテファルコ、べヴァーニャ、グアルド・カッターネオ、カステル・リタルディ、ジャーノ・デッルンブリアの5つのコムーネに分布しています。DOCG Montefalco Sagrantino用の畑面積は2000年から2010年の間に175ヘクタールから約700ヘクタールまで増加していますが、モンテファルコエリア内にある現在の生産者の数は70余りで、全Montefalco Sagrantinoの生産本数は僅か90万本です。

 

 

 

果房のサイズは中程度のものと小型のものと2つのタイプがあり、円筒形か円筒・円錐形。果粒は中程度の大きさの球体形、密着度は中程度で、岐肩をもちます。皮がやや厚く、青みがかった黒色で、表面が蠟質の白い粉で覆われています。成熟は10月の前半。葉の大きさは中程度で、三角形で三裂しているか五角形で五裂している2つのタイプがあり、葉の表側は緑色です。

 

アルコール度数が高く、ポリフェノールやエキス分が豊かなため、長期熟成向きです。
辛口のタイプは、非常に濃いルビー色で、長期熟成によりガーネット色のニュアンスが現れ、果実やスパイスの上品な香りが長く持続します。リッチでバランスが良く、厚みのあるボディが感じられます。
甘口のタイプは、完熟したフルーツ、ベリー系ジャム、スパイスのアロマが強調され、しっかりとしたタンニンと控えめな甘さとのバランスがきれいに取れています。

 

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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