ブドウ品種のちょっと深いはなし Vol.14~FUMIN~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第14回目は・・・
モンブランの麓の美しい州で愛される『FUMIN/フミン』

 

 

 

 

19世紀初頭にブドウ品種学者ロレンツォ・ガッタ氏は、フミンの栽培エリアをヴァッレ・ダオスタ州中部と北部の5つの地域に特定し、寒さに強い品種のため、特に北向きの場所が適しているとされました。また、フミンとピエモンテ州のフレイザ種との類似性、特にそれぞれ100%で造られたワインの類似性を唱えました。さらにガッタ氏はフミンを2種類に分類。1つ目は切れ込みが深く、収穫の時期に赤くなる小さめの葉を持ち、2つ目は主にアオスタとサン・ピエールの間に広まっているもので、葉の切れ込みがそれほど深くなく、秋にさほど赤色にはなりません。

ルイ・ナポレオン・ビシュ氏もフミンを2種類に区別し、赤い葉を持つ方はmale (男性)、2つ目をfemelle (女性)としました。2つ目のバイオタイプに関してはフレイザとの共通点を認めました。

1960年代になると、ジョヴァンニ・ダルマッソ氏とルイージ・レッジョ氏は、フミンとフレイザとの類似性を、品種としてもワインとしても否定し、同時にダルマッソ氏及びジュゼッペ・デッローリオ氏はフミンの栽培を推奨しませんでした。1970年にフミンはイタリア全国ブドウ品種記録書に登録されました。

 

フミンの品種名の語源は、ワインの香りにスモーキーなニュアンスがあるので、イタリア語で「煙」を意味する「フーモ」に由来していると思われます。

昔はあまりストラクチャーのしっかりしていないワインに、色や酸度を加えるためにフミンをブレンドして入れることが多かったのですが、最近ではフミン100%でクオリティの高いワインが造られることが多くなりました。1971年にDOCヴァッレ・ダオスタ・フミンが制定されてから、フミンの栽培が徐々に増えています。新しく植え付けられたブドウ木はかなりの数で、現在ではフミン100%でワインを造る生産者が多くなっています。

 

ドーラ・バルテア川の左岸(北側)、サン・ヴァンサンからヴィルヌーヴまでが主な栽培エリアです。また、右岸のアイマヴィルにも古い畑が広がっています。
長い冬は極めて寒く、夏は暑さ厳しいという大陸性気候で、イタリア全土でも類をみないほど降水量は少ない地域です。この乾燥した気候と通気性の良さのおかげで、ブドウはカビなどの病気にかかりにくいのです。また、アルプスの山間部に位置することから畑の標高が全般的に高く、日照量は短いものの、背後にそびえるモンブランからの照り返しによって昼間は気温が上昇し、夜は急激に気温が下がるため、ゆっくりと成熟した酸度のバランスの良いブドウが生み出されます。

 

 

 

果房は小さめあるいは中程度の大きさで、ピラミッド形。岐肩を持ち、やや密着型。果粒も大きくなく、藍色がかった皮は厚く、表面が蠟質の白い粉で覆われています。10月最後の週に収穫を行います。葉の大きさは中程度で、五角形で三裂。葉の表面は無毛で、光沢のある青緑色です。裏面にはわずかに産毛が見られます。

ワインは紫色のトーンを持つ濃いルビー色をしていて、香りには若干ハーブが感じられます。長期熟成により、なめし革や土っぽいニュアンスが現れます。長期熟成向きのため、フレッシュに飲むスタイルで造られることは少なくなっています。

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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