イタリアワイン土着品種研究会Vol.35~宮嶋さんコラム ~

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Vol.35_CANNONAU編

 

【愛着と誇りが伝えてくれたもの】

 

イタリア各地にその土地ならではの土着品種があるが、その中でも産地との結びつきが特別に強く、まさに州を代表する「顔」となりうる品種がいくつか存在する。ピエモンテのネッビオーロ、トスカーナのサンジョヴェーゼ、シチリアのネロ・ダーヴォラなどがその好例で、サルデーニャではそれはカンノナウだ。

 

少し前までカンノナウはグルナッシュまたはガルナッチャと同じ品種と考えられ、スペインから持ち込まれたとされていた。ところが先史時代の遺跡で3200年前のカンノナウの種子が発見され、サルデーニャ土着品種であることが証明された。サルデーニャ人の心が大いに誇りで満たされたことは言うまでもない。

 

カンノナウはアロマが魅惑的で、赤い果実、バラにユーカリ、地中海灌木が混ざる。酸は強くなく、温かさを感じさせる味わいで、タンニンがとても繊細だ。地中海の真ん中にある暑い気候の島で生まれるとは思えない驚くほど優美なワインだ。海風を感じさせるヨードとハーブのニュアンスが際立つ地中海的なワインである。全島で栽培されているが、海に近い砂土壌では香り高いワインとなり、平野部の粘土の多い土壌では力強くなり、島の北東部に広がる花崗岩丘陵では生き生きとしたフレッシュなワインとなる。テロワールを反映する力のある品種なのだ。

 

サルデーニャを代表する料理が仔豚の丸焼きポルチェッドゥだが、これがカンノナウと実によく合う。乳飲み仔豚を4~5時間かけてじっくりと炭火で焼き上げた素朴な料理で、皮はカリカリと香ばしく、肉はとてもやわらかく、みずみずしい。島を旅するとどの村でも供されるので、各地のカンノナウとのマリアージュを楽しむことができる。面白いのは仔豚の形をとどめたままサーブする必要があるとされていることだ。焼きあがった仔豚は食べやすいように一度切り分けられるのだが、原型を再現するように皿に盛られる。自分が食べている部位が肩か、腹か、脚かわかる必要があるそうだ。住民が強いこだわりを持っている料理なのである。サルデーニャは海に囲まれているにもかかわらず、魚介類料理よりも羊飼い料理、農民料理の伝統が根強い。バカンス客は伊勢海老に夢中だが、島の住民は羊や豚を好んで食べている。

 

様々な文明の支配を受けてきたにもかかわらず、サルデーニャ人は頑なに外来文化を拒否し、固有文化を守り続けてきた。サルデーニャ語はイタリア語の方言ではなく、別の言語である。外国品種の導入にも消極的で、土着品種が数多く残っている。自分たちの文化への強い愛着と誇りが守ってきた貴重な遺産が多く残っている島なのである。

 

 

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