イタリアワイン土着品種研究会Vol.33~GAGLIOPPOの歴史 ~

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ガリオッポは、主にカラブリア州のイオニア海に沿った地域にて栽培されている土着の黒ブドウ品種である。地域でも長い歴史を持つ主要の黒ブドウであり、古代ギリシャ人との関わりも強い。

 

紀元前8世紀後半より、古代ギリシャは現在のカラブリア州を含む南イタリアとシチリア島を大植民地化し、Magna Grecia(マーニャ・グレーチャ/大ギリシャ※1)を形成した。ガリオッポの栽培の盛んなカラブリア州チロ・マリーナ、かつての“クレミッサ”では同品種からKrimisa(クリミサ)と呼ばれる赤ワインを生産し名を轟かせた。当時行われていた古代オリンピックではKrimisaのワインが勝者へ授与されていたという(※2)。クレミッサの南のクロトーネ出身の“クロトンのミロン”はレスリング選手として6度の優勝を誇り、Krimisaワインを象徴する大使のような存在でもあった。そのほかにも、当時、クレミッサの北の港町シーバリはワイン商業の貿易港として機能しており、ギリシャ人たちは“Vinodotti”というテラコッタ製のパイプラインを作り、ガリオッポのKrimisaワインを船場近くまで輸送し、地中海全域へワインを輸出していたという。

 

19世紀後半、多くの土着品種と同様にフィロキセラによって甚大な被害も受け一時は廃れてしまったものの、近年そのポテンシャルが再脚光を浴びクローンの研究も進められるなど、国際的にも評価される南イタリアの土着品種の地位を確立している。

 

ガリオッポの名の由来には、諸説として2つある。1つは、“美しい足”という意のギリシャ語源である。美しく伸びるブドウの果梗を表したものとされる。もう1つは、地元の方言での“閉じた拳”というもので、ブドウの実がコンパクトに詰まっている様子から名付けられたとされる。

 

シチリア州で栽培されるフラッパートとは、形状、遺伝的にも似ていることもあり長く混同されてきたがシノニムではない。

 

カラブリア州以外にも、マルケ州、カンパーニア州、シチリア州などで栽培されている。1970年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。

 

※1 ラテン語 Magna Graecia(マグナ・グラエキア)

※2 2004年のアテネオリンピックでは勝者へガリオッポ種の銘柄DOCチロが授与された。

 

 

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