イタリアワイン土着品種研究会Vol36~NERO D‘AVOLAの歴史 ~

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ネロ・ダーヴォラは、主にシチリア州の全域で栽培されている土着の黒ブドウ品種である。他の多くのブドウ品種と同様にギリシャ人による植民地時代にシチリアへ持ち込まれたとされる。伝統的なアルベレッロ式※1の栽培は、その古代の起源の記憶を現代に留めている。

 

その名のNero d’Avolaは、“アーヴォラの黒”を意味し、アーヴォラ界隈のノートやパキーノ、エローロなどシラクーザの南のエリアが原産とされる。この地域では、乾燥した気候と海からの穏やかな風、天候を安定させる山の存在などのミクロクリマが存在し、ネロ・ダーヴォラ栽培の最良の環境となっている。

 

また、ネロ・ダーヴォラの正式な品種名称はカラブレーゼとなり、イタリア全国ブドウ品種登録書にもカラブレーゼとして登録されている。その名からカラブリア州原産と連想されることが多々あるが、カラブリア地方へ海峡を越え栽培されていたとする歴史的な痕跡は無い。一方でCalabreseの語源はシチリア方言におけるCalaulisi、Calarvisiに由来する。これはRadicicalau、Aula(Avola)から派生した言葉とされ、すなわちアーヴォラのブドウを意味している。

 

歴史的に特筆すべきこととしては、1800年代から近代にかけてネロ・ダーヴォラは安価であったこともあり、国内やフランスへいわゆる“混ぜ物”として大量に売られ、その地方の軽いワインへ色合いとボディを加える目的で混醸されていた。素晴らしいポテンシャルを持ちながらも独自のアイデンティティを持てずに日の目を見なかった時代があるブドウであるが、近年ではそのイメージも払拭されシチリアを代表する黒ブドウ品種の地位を確立した。低収量や正確な醸造において、ネロ・ダーヴォラは伝統的なその暖かい果実味やストラクチャーに上品さを纏い、晴れて世界に認められるワインを輩出するようになったのである。

 

1970年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。

 

※1 アルベレッロとは、ブドウ栽培における仕立て方の一種。垣根仕立てとは異なり一本の樹が自立している状態で栽培する。地面に近い下部に房がなり、上の部分に覆われた葉によって強い日照から守られる。シチリアなど南イタリアの伝統的な仕立て方。

 

 

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