イタリアワイン土着品種研究会Vo37~ROSSESEの歴史 ~
ロッセーゼは、主にリグーリア州西部のインペリア県で栽培されている土着の黒ブドウ品種である。
その起源は定かではないが、ギリシャ人やエトゥルリア人によるブドウ植樹・栽培の起源説、そのほか土地柄や歴史的な背景からリグーリア州と接する隣国フランスとの関連を指摘する研究者も少なくない。
10世紀から続くジェノヴァの名門ドリア家は、フランス軍との行軍中にアルプス、南フランスでこのブドウとワインの価値を知り、自らが所有するリグーリア州ドルチェアックアの畑にこの品種を植えたという。また中世には海戦中にドリア家従軍の船員の士気を高めるためにそのワインを振る舞ったともいわれる。
1700年代の終わりにナポレオン・ボナパルト将軍がドリア侯爵の城を訪ねた際には、ドリア家はロッセーゼのワインで彼をもてなした。ナポレオンは大いに感激し、パリまで樽を運ばせたとの逸話も伝えられている。
シノニムは多くはないが、プロヴァンスのティブランと同義である。ティブランはフランスの品種カタログには古代ローマ人によってフランスへ持ち込まれたとの記述も見られる。
近年は、その需要からインペリア県外での栽培も増加傾向にある。
1970年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。