イタリアワイン土着品種研究会Vol.38~宮嶋さんコラム ~

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Vol.38_TREBBIANO DI LUGANA編

 

肉の香りと白ワインの夕べ

 

今イタリアで最も注目されている白ワインの一つがルガーナだ。ルガーナの産地はイタリア最大の湖ガルダの南に広がる粘土の平野と氷堆石丘陵である。温暖な気候に恵まれ、風光明媚なところで、バカンス地としてとても人気が高い。温泉も湧いていて保養地としても最高だ。湖面を渡るやさしい風に吹かれながらの屋外アペリティフは、心の底から寛いだ気分になれる。

 

ルガーナはフレッシュで、生き生きとした白ワインだが、酸とミネラルが強靭だ。それは使われる品種トレッビアーノ・ディ・ルガーナの特徴でもある。一見シンプルに見えるのだが、実は長期熟成能力が高く、熟成によりとても複雑になる。

 

10月半ばにルガーナで取材をしていた時、あるワイナリーの夕食に招かれた。仲間を集めてスピエードをするからお越しくださいとのお誘いだ。スピエードはこの辺りの伝統料理で、数種類の肉を長い串に刺して回転させながら何時間もかけて焼き上げる豪快な料理だ。手間がかかるし、大量につくらないと美味しくないので、人が集まる機会に行われることが多い。その日は収穫を終えた地元生産者の集まりであった。

 

ワイナリーに入ると肉が焼ける香ばしい匂いがして、大串に刺さった豚、鶏、ウサギがゆっくりと回転していた。何本もの串が同時に回転している様は壮観だ。焼けた肉から垂れ落ちてくる脂を受け止める器があり、その脂をスプーンですくって、また上からかけている。しっとりと焼き上げるためだ。串の間に挟まれたサルヴィアの香りが芳しい。炭火の中に剪定したブドウやオリーブの枝を放り込んで香り付けをしている。

 

アペリティフに出されたルガーナはフレッシュで、活気に満ち、とても爽やかだった。着席すると串から抜いた肉を大皿で持ってきてくれる。ジューシーに焼きあがった肉はやわらかく、一緒の串で焼いて、落ちた脂をかけているために、それぞれの味わいが混ざりあい、ローストなのに煮込みのような一体感がある。スピエードには野性的で強い赤ワインを合わせることが多いが、その日はずっとルガーナだった。スーペリオーレ、リゼルヴァと熟成期間が長くなるにつれて、甘い果実のニュアンスに混ざるシャープなミネラルと酸が強くなり、肉の脂の旨味を包み込んでくれた。ルガーナと楽しむとスピエードもとても繊細な料理に思えた。ワインと料理の出会いは常に新鮮で、驚きに満ちている。

 

 

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