ブドウ品種のちょっと深いはなしVol.10~TIMORASSO~

 

 

イタリアに2000種以上あるといわれる「土着品種」を、ひとつずつご紹介していきます。

 

第10回目は・・・
無骨だけど包容力のある『TIMORASSO/ティモラッソ』

 

 

 

 

ピエモンテ州とロンバルディア州の境界南部にある丘陵地帯に、古くから存在する土着品種であるとする説が一般的です。

19世紀後半にフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)による被害を受ける前までは広く普及しており、コルテーゼ種よりも栽培されていた品種の一つでした。またリグーリア州のジェノヴァ県においても、フィロキセラによるダメージ以前の時代に食用ブドウとして存在していました。

 

ブドウ品種の研究者でもあったジュゼッペ・ディ・ロヴァゼンダ伯爵 (1877年) は、大変美味しい食用のブドウだとその長所を称え、1885年の農林政策省の官報「ボッレッティーノ・アンペログラフィコ第19号」においても、このブドウ品種が食用・ワイン用のどちらにおいても適しているとの記載があります。その後、長い間その存在を忘れられていましたが、近年、特にトルトネーゼ地方ではその品種を再生させる努力がなされています。
1970年に正式に国のブドウ品種として登録されました。

 

ティモラッソの栽培は、ノーヴィ・リーグレを中心としたノヴェーゼ地方からトルトーナを中心としたトルトネーゼ地方までのアレッサンドリア県の広域でみられ、ロンバルディア州パヴィア県のヴォゲーラまで広がっていました。もともとは、トルトネーゼ地方の東側のみ、特にグルーエ川とクローネ川周辺の谷あたりで栽培されていたとされます。現在では、アスティ県、アレッサンドリア県、またクーネオ県の一部で栽培が認可されています。
ティモラッソの現在の全作付面積は約100ヘクタール、生産者数は25余りしかいません。

 

 

 

果房の大きさは中程度で、円錐形、ピラミッド状。翼が生えた形のものが多く、密着度が高くコンパクトです。果粒は大きめの長球が主で、小さい粒が混在しています。皮は蝋粉が多く黄色がかった緑色。完熟は比較的早く、一般的に9月の上旬に収穫されます。標高が高めのエリアでの栽培に適しています。葉の大きさは中程度あるいはやや小さめで、形は五角形で五裂。葉の付け根の部分はU字に開いていることが多く、表面は毛が無く平滑で暗緑色です。
過去には食用のブドウとしてしか使われていませんでしたが、現在はワイン用のみに使われています。ワインは麦わら色~濃い黄色で、 特徴的なぺトロール香が印象的。しっかりとしたアルコールがあり、火打ち石などのミネラル分を感じさせる味わい。中期熟成も可能です。

 

 

 

 

イタリアワインの土着品種とは?

土着品種とは、一般的に、その土地で生まれ育った固有の遺伝子型をもつ品種のことを指します。イタリアの土着品種2,000種を超えるとも言われています。南北に長いイタリアの国土、海と山に囲まれた地形、多様な気候、全20州の国全土でワインが造られているという唯一無二の環境がその土着品種が生まれ、また、それぞれの地域がもつ複雑な長い歴史と独自の文化がマイナーで作付けの少ない土着品種を守り抜いてきました。それゆえ、イタリアワインは複雑でつかみどころがありません。しかしその「多様性」こそがイタリアワインの魅力となっています。

 

 

 

参考文献:

『土着品種で知るイタリアワイン』中川原まゆみ著(ガイアブックス)

『プロフェッショナルのためのイタリアワインマニュアル イタリアワイン』宮嶋勲監修(ワイン王国)

『ワイン基礎用語集』遠藤誠監修(柴田書店)

『Guida ai Vitigni d’Italia』Slow Food Editore

『Il Vino Italiano』AIS-Associazione italiana Sommeliers 

『VINO MANUALE PER ASPIRANTI INTENDITORI』Ophélie Neiman (GIUNTI)

『ATLANTE del VINO ITALIANO』Vittorio Manganelli – Alessandro Avataneo (LIBRERIA GIOGRAFICA)

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